【実話】出逢ったのはフィリピーナ。別れたのもフィリピーナ。

1994年フィリピーナとの出来事を当時の記憶のまま、お伝えして行きます。

今だから話せる事。忘れては行けない事。その教訓が現代に至る事。

08*日本人『ミサ』の存在

【ミサ】

マイがいなくなりシンフォニックへ来店する頻度は減ったものの、アキ始めフィリピン人達と楽しく過ごしたく常連は続いていました。

フィリピン人達も入れ替わりが激しくお互いを覚える暇もないくらいでしが、逆に新鮮さを感じたのも正直な気持ちでした。

 

そして、系列店からサブマネージャー的な立場の『ミサ』と言う日本人女性がやって来たのです。

たまに私の席につくと言葉が通じ合う者同士仲良くはしますが、あまりにもサバサバと素っ気なく、ズバズバ物事を言うので、他のお客さんを怒らせてしまう事も何度か目撃していました。

 

ミサはマイやフィリピン人達の事を良く知っていて、私の自宅電話番号も教えていてたので暇な時の『呼び出し』もありました。

 

【マイの事】

ある日ミサは辞めたフィリピン人の話題を出してきたのです。

「フィリピン人達って直ぐに悲劇のヒロインっぽくなるし、バックレれて他の店に行っちゃうし扱い辛いよ」

 

こんな内部事情を話す事で、歳の近い私には友達感覚のアピールだったのかも知れません。

 

「マイもそんな感じだった?」

「アイツは一番ダメだよ、金持ちの変なオヤジが時々出て来るはワガママな女だし…」

 

変なオヤジと言うのはアキから聞いた『スドー』という男の事だろう。

 

「そのオヤジとは結婚してるの?」

「そんな訳ないじゃん。マイはフィリピンに旦那いるらしいよ、まぁでも日本での旦那って感じでしょ。どーでもいいよ」

 

フィリピンに旦那?

アキからも聞いた…

 

マイはミサに相当嫌われていたのが分かるし、シンフォニックのフィリピン人達もミサのふてぶてしい態度を良くみてはいないだろう。

 

【スドー】

「そのスドーさんは…」

「…たつ、なんでスドーの事知ってるの?」

酔っていた事もあり、アキに口止めされていた事がつい出てしまった。

 

「あっ、なんとなく風の噂で聞いた…」

と、言うしかなかった。

「アキに聞いたんでしょ。アイツもベラベラ喋るデブだから」

「いやいや、ここでフィリピン人達が話してるを聞いただけだよ」

「もういいよ、もう辞めたフィリピン女は知らないし」

 

酔った勢いの『事故』とは言え、アキとの約束を破ってしまった事に負い目を感じてしまったが、ミサは全て知っている様子だったので、どうでも良い事で済ませてくれた。

 

逆に私はミサからもっと聞き出してやろうと話の進め方を変えました。

「ミサ。色々と教えて?マイの事。俺、今日はまだいるし飲みたいの飲んでいいから」

と情報を『買う』事に決めたのです。

遠くからのアキの視線を気にしながら、マイの事を聞き出しました。

 

【マイに対する私の疑問点】

1:フィリピンに旦那はいたけど現在は離婚してるって聞いたけど?

 

2:スドーさんて何者?

 

【マイに対するミサの回答】

1:フィリピンでは法律上離婚はありえない、但し結婚を無効にする裁判を起こす事ができれば可能。それには莫大な金がかかる。

おそらく離婚も金次第。

 

2:スドーは長野県のフィリピン人女性を全国に送り出すブローカー、長野に在住していたマイと東京に来て、マイをシンフォニック系列に紹介した男で、マイを手放す事はしなく、沢山のフィリピン人女性達とも関係を持ち自宅に住まわせる。その為マイとも半同棲なのである。

 

ミサはフィリピン人の事情も詳しく、サブマネージャーに相応しい存在だったのだろう。

 

【ミサの言葉】

「たつ、あんたマイに惚れてんでしょ?やめときなよあんなジャンキー」

「ジャンキーって?」

「ジャンキーだよ、意味知らないの…」

「いや分かるけど、マイが?何で?」

「だから、やめとけって」

 「俺だって、ここの店の女に惚れた訳じゃないけど、ただフィリピン人の事よく知らないから知りたいだけ」

と本心では無いが、カラーが違う事を主張した。

 

ジャンキー【junkie】 

麻薬常用者。転じて、何かに病み付きになっている人。
(※大辞林 第三版の解説)

出典:ジャンキーとは - コトバンク

 

当然の事ながらミサの情報は、アキよりもニュアンスがしっかりと理解できた。

だからと言って、そう簡単にマイへの気持ちが消沈した訳ではなく、最終的には当人と答え合わせをしなければ、納得ができなかったのです。

 

さあ、どうやってマイを探そうか?

 

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(つづく)

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07*フィリピン人との出会いを友達に報告した日

【健】

高校時代からの友人、健(けん)が病気を患って入院していた。

シンフォニックでのマイの一件は忘れられない出来事として健に報告したく、その日もモンブランと中古のゲームボーイソフトを持って病室を訪れたのでした。

何でも話せる仲で、お互いあまり隠し事はしないと言う暗黙のルールさえあったくらいです。

 

マイに向けていた恋愛感情を淡々と話し、結局他に男がいた事。そして流れでアキを泊まらせる事になった事。

闘病中の身にそんな事お構い無しと言うくらい遠慮なく話しました。

健は終始興味深々らしくニヤニヤと頷いていました。

アキとは何も無かったと言っても信じてくれません。

『俺はデブっぽい女が好きなのに、お前ムカつく!』とまで伝えられましたが『退院したら俺も連れてけ!』となり

挙げ句には私の話の仕返しまでして来ました。

『若い看護婦がキワどいスカート履いてて…水色の…』

 

なに?!

 

『きのう検温の時に俺に接近してきて…』と自慢して来たのです。

私はそっちの方が妄想が膨らみ、異常にムカつきました。

こんなヤツの所こなきゃ良かった。

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【病気】

3カ月前、健と酒を飲んでいると「舌が痛い、舌が痛い」と辛そうにしていました。

「早く病院いったら?」と軽い口調で話したものの、まさかこんな事になるなんて…

 

健は診察に行き数日後に入院です。

彼の病は『舌癌(ぜつ・がん)』だったのです。

舌を切り落とす長時間の手術をしました。

 

初めてお見舞いに行った時は、健のその姿に動揺したくらいです。

しゃべる事も食べる事も不自由なった健は、喉に流動食を入れる為の穴が開き、カニューレというパイプが取り付けられ、人造人間のような姿に変身してしまっていたのです。

 


癌を告知されていた健は僅かな可能性を捨てず、生きる事に常に前向きでした。

『言葉は失ってもファックスがあるから連絡はファックスでしてほしい。退院したらまた飲み歩こう』と私に筆談してきました。

 

当時はまだメールやネットが一般的な時代では無なく、文章での早急な伝達は主にファックスでした。

情報がリアルタイムに印刷されてくる事の有難みを感じました。

 

【ノート】

マイの事を話した日の帰り際、健はノートにこう書いて私にみせました。

 

『マイって女いなくなって良かったと言うのはウソだよ。タツは惚れ込んだら痛い目にあうまで退散しない』

 

(つづく)

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06*アキが泊まりに来た

【アキ】

シンフォニック前で、街灯に照らされ仁王立ちしたアキがいました。

そして「たつ、早く家に行こう」

と私の腕を組んで来たのです。

 

アキは仕事柄、私に惚れている素振りをしますが、決して私に対して男としての好意を抱いている訳ではありません。

正直私もそうでした。

更に、安易に男の自宅に泊まらせてほしいと言う発言は、おそらくアキの性格もあったのだと思います。

 

私はいくらフィリピン人だろうと、その気もない女性を泊まらせる事に躊躇していて、どうにかしてアキを帰らせる作戦は無いものかと、模索するくらいだったのです。

マイの事を聞いた直後で、気持ちに余裕もなかった事もあります。

 

【自宅】

アキに腕組みされマンション敷地内に入る時は、誰かに気付かれやしないものかと、冷や汗もでてきました。

 

とりあえずアキを自宅入れては

「なんか飲む?」ってウィスキーの水割りと湿気たカラムーチョ差し出すと、仕事でも散々飲んでいるわりに「gutom na ako (腹へった~)」と、カラムーチョを頬張り水割りをガバって飲んでは、大声でゲラゲラ笑い始めたので、窓開いていないか気になる始末。

 

【マイの事】

アキからの電話では聞き取れず、ニュアンスがイマイチ伝わらなかったマイの事を聞き出しました。

自殺未遂とかマイが病んでいる傾向にある事よりも、旦那だか彼氏だかの存在が一番気になっていたのです。

 

「マイの旦那さんっているの?」

「フィリピンにいるのよ」

「ん?フィリピンにいる?」

「マイが言ってた、でも今はわからない」

「いつの事?」

「日本に来る前。今はフィリピンにはいない…」

「わからないの?それともいないの?」

「あ~、私はマイと友達だから話はしてた、でも前に旦那さんがいて、今はフィリピンのどこへ行った。わからない」

 

ボトルと水と氷はテーブルに用意してたので、アキは仕事のクセで自分と私に水割りを作り続けながら話してくれたけど、やっぱり意味不明だ。

私の憶測では、マイは日本に来る前フィリピンに旦那がいたけど現在は離婚している。

が、正しい見解だろう。

 

その次だ。

 

「じゃあ今マイが住んでいるのはどこ?」

「高円寺のスドーさんの家」

「スドーさんって誰?」

「日本に来て長野から一緒に来たオジサン」

「誰?旦那さんなの?」

「旦那さんじゃないけど、たまに一緒に住んでる」

「じゃあ、結婚してないけど彼氏?」

「あ~、彼氏じゃないけど時々迎えにきてて…」

 

もう朝3:00を過ぎてた

 

「マイはシンフォニックのアパートに住んでたんじゃないの?」

「そうだよ、スドーさんはたまに一緒に住んでるだけだよ」

 

一緒に住んでるだけって、それが気になる所。

「それならスドーさんの所で、たまにじゃなく、ず~と一緒に住めばいいじゃん!」

 

アキの意味不明な説明と、スドーさんに対する嫉妬心でイラっときて、アキに不機嫌な表情を出してしまった。

 

「アハハ!たつ!マイを愛してるの?Mahal Kita?」

 

どこの国の女性でも、この様な男の心境って気が付く物なのでしょう。

 

そしてアキの話の通りだと思います。

マイには半同棲的な存在の男性がいるのは確かで、それに気が付かなかった私は本当にシンフォニックのカモになっていたのでしょうね。

そもそも、そう言う女性に惚れてしまう事自体がご法度なのですから。

 

Mahal Kita(マハル キタ)

愛してる。I Love You。

初めてタガログ語の愛の表現を勉強した瞬間でした。

 

【4:00AM】

マイと色々と話ができ、なんだかスッキリしたような、そうでもないような…

時計を見ると4:00AMです。

後3時間すれば起きる時間で、この時間まで飲み続けた事は朝になってきっと後悔するハメになりそうです。

 

「ねぇアキ。俺もう寝たいんだけれど、アキはどうするの?」

「私はたつが仕事行く時に一緒に出るよ」

「じゃ、いるの?」

「だって、帰る電車ないでしょ?」

「いいけどどうするの?寝るの?」

 

全くアキに対する興味がない事を露骨に冷たく表しました。

あまりタイプでもないし、アキに性的な気持ちは持ち合わせないようにしよう。

だってマイへの純粋な恋愛感情を、貫きたかったのですから。

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「じゃあ、たつの布団で寝ていいでしょ?」

「へっ?一緒に?」

「ダメなの?」

 

この時のアキの言葉は、単純に就寝する事だけを要求していた様子です。

 

「わかった。けど、そのままの恰好でねるの?」

「だいじょうぶ」

 

そしてアキと同じ布団で、背中合わせで、短い睡眠を取ったのでした。

アキのサイズからして私の就寝キャパシティーが狭くなった事は言うまでもなく、胸の大きさ同様、ケツの大きさも強烈なのが分かりました。

 

もしこの時、本能に任せアキに迫まったり、迫られたりしていたら、今の私の人生も変わっていたかも知れない。

 

(つづく)

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05*マイがいない

【マイ】

フィリピンパブ「シンフォニック」へマイに逢いたく通い続けて、2カ月ばかり経った時の事です。

マイの姿が無かったので友達(同僚)のアキに聞いてみました。

 

働いているフィリピン人女性達は店の定休日である日曜が唯一休日で、他の日に欠勤するとペナルティーを課せられるシステムだと聞いていた為、余程の事がない限り欠勤はあり得ないのです。

 

じゃぱゆき達の、祖国にいる家族の為自分を犠牲にする行動力は、日本のドラマ「おしん」に通じる物があります。

また、彼女達を雇う側も、お金が欲しくないならどうぞ辞めて下さい。

アパートも出て行って下さい。

と言う強固で、足元を見るような姿勢をする店も決して少なくないです。

 

「マイはどした?具合悪いの?」

「たつ、私じゃダメなの~?キライなの~?」

「アキは嫌じゃないけど、いつもいるマイがいないのが心配だからさ」

アキの得意技は大きな身体をスリ付けて来る事です。

それは彼女の大きな胸が、私の肩にめり込んでしまうくらいハッキリとした感触が伝わってきます。

 

【Talaga?】

私の席には他のフィリピン人”メリー”もいたので、アキとメリーは私には通じないだろうと言うていで、タガログ語での会話を始めました。

話の節々に「マイ」と聞き取れます。マイの事を話しているのが伺えます。

その会話が気になってしまい飲んでいる気分じゃありません。

やがてメリーは眉間に皺を寄せて「Talaga?(タラガ?)」と低い声で言いました。

 

教わりたてのタガログ語で、その言葉は私でも拾う事ができました。

Talaga?(タラガ?)とは「本当に?・マジかよ?」と言う意味です。

つまりマイは体調不良での欠勤とかではなく、何かあった事は確実です。

 

【マイに何が?】

「ねぇアキ、何があった?マイはどこにいる?」

「たつ、あなたはそんな事しちゃダメよ」

「えっ!何言ってるの?そんな事って?俺がマイに何かした?」

アキはニコニコしながら再び身体をスリ付けてきました。

今度は胸を腕にこするようにあてて、ぽぽんと左右の胸が連続して腕にあたったのでした。

 

「たつ、お店終わったらでんわするわ」

「うん分かった。必ずだよ!」

 

【2:00 AM】

アキから電話がありました。

「たつに全部おしえるけど、誰にも言わない約束して」

 

アキはマイの事を全て教えてくれたのです。

内容が複雑でアキの日本語では聞き取りが難しかったのと、公衆電話のカードが少なかったらしく途中で切れてしまいましたが、私は理解と同時に聞かなきゃ良かったと後悔に包まれたのでした。

シンフォニックでアキが言った「あなたはそんな事しちゃダメよ」の意味もわかりました。

 

マイはフィリピンにいる家族の事で悩みがあって自殺未遂(リストカット)をしたらしく、店に来ない事を心配したアキが発見し、救急車で運ばれ一命は取り留めたそうですが、その後店に辞めると連絡を入れ゛旦那(彼氏?)゛の家に戻ったと言う内容でした。

 

ま、国が違うんだし色々あるよな…

旦那いたんだ…

俺が一方的に店の女の子に惚れてしまってただけだし…

 

暫くは深夜番組を眺め、タバコ吸ってボ~っとしてため息が出たり…

明日も仕事だけど行く気ねぇよ。

 

そしたらまた電話が鳴ったのです。

「たつ。まだ起きてる?アキだよ」

「あ、どしたの?」

全く心ココにあらずで、気のない返答。

「さっき電話してたらボスの車で皆帰ちゃった。わたし帰るところない、たつの家に行きたい」

「え~っ!!?俺んち!?」

「シンフォニックの前だから、すぐ来てください」

「すぐって?!うちに来るの?」

「あ~電話きれちゃうからね」

 

俺と電話してて置いてかれたんだ。

ひでぇな、あの店は。

責任はあるからとりあえずシンフォニックまで行ってやらないと。 

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(つづく)

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04*フィリピンパブの常連に

【週2日】
1時間4000円で飲める事を良い事に、シンフォニックへは週2日くらいのペースで来店する常連客となっていました。

おそらく客層の中では一番若く、ピンで現れて必ず1時間で退店する私は、店的に決して"良い常連客"とは言えなかったでしょう。
しかし、そんな小僧に対しボスと思われる黒服のおじさんも「今日は他のお客様が多く女の子が足りなくて…」やら「お仕事はどちらで?」とか話かけてくれました。
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【たつ】
マイとアキは私が来店する度に喜んでくれて「たつやさんこんばんは~!今日もお金ないんでしょ?あはは」など、フレンドリーな空気を作り、他のフィリピン人ねぇさん達とも仲良くなって行きました。

フィリピンの公用語であるタガログ語も少しづつ教えてもらい、マイ始めこの店のフィリピン人達と友好になりたかったのです。

フィリピンではタガログ、ビサヤ、セブアノ、イロカノ等を含む80程の言語があり、日本で言う地方の方言とはニュアンスが違って、同じフィリピン人同士でも全く通じないそうです。
但し英語は広く公用語として使われている為、特に教育を受けていなくても自然と英語が喋れる人が多いです。

やがて「たつやさん」から「たつさん」、「たつ」と呼ばれるようになり、自宅電話番号も伝えていて店が暇な時は「遊びにおいで~」と連絡まで来ました。

【常連】
1つの店に常連客として通い、店の女の子達とも仲良くなっている自分は、客と店との関係を隔てる壁が薄くなっている事で、優越感に浸り、自慢のネタであり、たまに友達も連れて行っては俺はこの店の女の子達と仲良いんだぞって、タガログでマイと会話しながら嫌みっぽくアピールするくらいの厄介な男でした。

そしてマイに対する"独占欲"が芽生えてきたのも事実です。

それが、こう言う店のやり方なのは当然で、来店客を女の子に惚れさせ、一時の疑似恋愛を"売り"にし、次に繋げるのが目的なのです。
しかしながら、まだ若かったなのかも知れません。
猪突猛進な性格は一時で留まる事は不可能でした。

そんなある日の事…
マイが店を辞めてしまったのです。

(つづく)
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03*金ないのに再びフィリピンパブへ

【再び】
マイから借りた5000円を返す為、再びシンフォニックに訪れたのです。
もちろん金を返すだけでは無く、1時間だけ飲んで帰るつもりでした。

 

ハウスボトルだけ飲んで女の子に何も飲ませなければ、3000円+チャージ1000円=4000円で済む事を理解したからです。

もし、女の子には必ず一杯は飲ませなければならないシステムと言うなら、それに従うつもりで"心構え"があれば前回のような失敗はしないだろう。

 

今思えばドケチな男でしたが、そこまでしても、シンフォニックは魅力ある店でした。

 

【マイ】
「こんばんは~!また来てくれたのですね!」
マイの大きな瞳は、更に大きく見開き私の再来店をとても喜んでくれました。

 

席に着くとマイが横に座ってくれたので「この前借りたお金ありがとう!」と、5000円をそっと返しました。
「いえいえ、今日は何のみますか?」
「ハウスボトルだけで良いでしょ?今日も一時間で帰るから」
マイはニコっと笑い私の頬を軽く摘まんだのです。
私もマイの頬を軽く摘みました。

意識してマイの肌に触れた初めての瞬間でした。

 

【会話】
勧められてもカラオケは一切唄わず、お互いの事を色々話しました。

マイはフィリピンのマニラから車で数時間の"ラグーナ"と言う地方出身で、11人兄弟の9番目。私より5歳年上だと分かりました。

家族兄弟が貧困で苦しんでいるので日本に働きに来ている。
この店での時給はたった1000円くらいで、そこから店の用意してくれたアパートの家賃や光熱費が引かれる。

そして、残った僅かなお金を毎月家族達へ仕送りをしているのだ。

 

 

まぁ、簡単に言うとマイは日本に出稼ぎに来ている”じゃぱゆき”さんです。フィリピンパブ等で働いている女性の殆どはそうでしょう。

当時、フィリピンでの一般サラリーマンの月給は日本円で1万~2万ほど。

フィリピン大統領”フィデル・ラモス”の月給は約10万円だと聞きました。

日本で働く事が如何に意義ある事かが分かります。

(※1993年現在)

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ラモス大統領 :http://pichori.net/Philippines/philippines_presidents/12_ramos.html

 

そんなマイの話を聞き、返ってくるあてもないお金を、初対面の私に貸してくれた優しさに偉く感動したのでした。

また、私生活での込み入った話をしてくれたマイに、とても親近感が沸いたのです。

更にフィリピンの女優”ルビー・モレノ”と知り合いとも言っていました。

 

 

ルビー・モレノ

フィリピンに重い障害を持つ娘がいて、じゃぱゆきとして日本で働いている時にスカウトされそのまま女優に。デビュー作から受賞経歴がありテレビドラマ「愛という名の元に」に出演していた。

 

数々のスキャンダルやら”不真面目”な態度が続き、現在はたぶん引退(?)している。

 

当時、フィリピンパブの女性達はルビー・モレノと「知り合い」「友達」「一緒に働いていた」と言うのが謳い文句だった。

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出典:https://middle-edge.jp/articles/yDTso

(つづく)

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02*料金高いじゃん。話が違うよ~

【店内】
生まれて初めてフィリピンパブに入店しました。

シラフの私を店に導き入れ、そのまま両脇に座った二人のフィリピン女性。
小柄は"マイ"と名乗り、大柄で小太りは"アキ"と名乗りました。

 

「その名前、日本人みたいだね」

「よくいわれてます。でもフィリピンでもある名前です」

「お兄さん。名前なに?」

「ん?、俺?たつやだよ」

女性が横に付くような、所謂キャバクラ等は職場の先輩に先導された時にしか行った事はありません。
代金も自分で払ったか、払ってもらったか殆ど記憶に無いくらいです。

しかし今回は自分の好奇心で、自腹で、そして一人で店に入った事がとても至福でした。薄暗い店内は私のテンションをヤケに上げていました。

 

黒スーツのおじさんが現れ「ご来店ありがとうございます」
と、さき烏賊とかきピー、アポロチョコとてんこ盛りポテチの皿、そしてウィスキーのボトルの栓を開け、水とマドラーの刺さった氷の山を置いて
「今は他のお客様もいないので、女の子達とごゆっくりお楽しみ下さい」
ぺこり

 

まずはビールでしょ!
「ビール一本お願いします!」
「たつやさん。私達も飲んで良いですか?」

「いいよ、飲んで飲んで~」

と、更にテンションも上りカラオケを進められたら"島唄"を歌って、楽しい宴は進んだのです。

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【お愛想】
急ピッチで飲んで歌って、そろそろ一時間経ったよな…

「マイちゃん、もう時間でしょ?また飲みに来るのでお愛想して」

「え~っ!もう帰っちゃうんですか?たつやさん」
「だって、俺そんなに金もってないし…」
「そうなんだ。じゃちょっと待ってて下さい」
と、マイは店の奥へと、アキは私の腕をぎゅっと離さず体を密着させ「また、絶対に遊びに来てよ~。私はお金なくても楽しい人が大好きです。フィリピン人ってお金ある日本人が好きだけど、私は違うです」

露骨に金の事ばっか言っている。
日本人の女の子のいる店なら、そんな話なんか出ない、
と思う。
文化が明らかに違うんだなぁ…

でも、このお姉さん達と会話は今まで経験した事のない楽しさを感じました。
それは彼女達の日本語が上手だったからかも知れません

 

【お会計】
「お待たせしました~」
と、マイは付箋の様なぺらぺらな伝票を私の前に提示しました。

 

8,400円

 

「えっ!1時間3,000円飲み放題じゃないの?調度1時間じゃん!そんな金持ってねぇよ!」

「ビール4本とカラオケ3曲歌ったでしょ?チャージ料もあります」
マイは食い下がりました。

「チャージってなに?飲み放題だって言うから、ビール頼んだんだよ!カラオケはわかったよ!」
私も食い下がりました。

 

少し怒り気味の声は店内に響き、瞬時に空気が変わったのです。

他のお客さんも居なかったので、ソファーに座って談笑していた他のフィリピン人女性達も私に注目していました。

「こんな手書きの紙じゃ分からない!詳しい伝票みせて!」
マイは無言で立ち上り再び店の奥へ

 

「たつやさん、ほんとにお金ないですか?」
アキは心配そうに言いました。

「だって、俺5000円しかないよって言ったよ」

「あなた、まだ若いから知らない。飲み放題はこの"ハウスボトル"だけです、これは私達は飲んではいけないの」
と、最初に出されたウィスキーのボトルを持ち上げました。

「それなら、最初に言ってよ!」

とにかく不機嫌になった私を遠くから黙って見ている、黒スーツおじさんの目線を感じました。

 

【会計伝票】
マイが戻ってきて詳しい伝票を提示しました。

チャージ(席代)          …1000円
ハウスボトル              …3000円
ビール4本        4×800= 3200円
カラオケ 3曲 …3×400= 1200円
指名料 (1500円)                 …0円

消費税(サービス)              …0円

------------------------------------------
                                合計 8,400円

(※当時の相場であり、うろ覚えです)

 

【穏便に解決】
マイは不機嫌な私の横に座り、アキと会話しました。
それは何話しているのか分かりませんが時折笑い声もありました。

どうして良いのか分からなくなった私。そんな私の手をマイはしっかりと握って来たのです。

なに?


私はマイの手のひらに違和感を感じたのです。


マイは何かを私にくれたのです。

 

私は小さく折り込まれた紙片を感じ取れました。

 

えっ?もしかして札?

マイは私の耳元でこう言いました。
「もうすぐ"ボス"が来るから帰って下さい」
と黒スーツのおじさんをちらっと見ました。

 

あの人がボス?

 

マイから渡されものは予想通り。
5000円札です。

 

「マイちゃんこれは?」

「私のお金だから、今度返して下さい」

「いや、それはダメだよ、マイちゃんが悪い訳じゃないしさ、俺が無知だったんだから。…無知って知ってる?」

「何?ムチ?」

 

「叩くのだよ」
と、ムチを振り回す仕草をしてゲラゲラ笑うアキはとにかく楽しそう。

 

「お客様、そろそろお会計よろしいでしょうか?」
黒スーツおじさんが来ました。

 

「あ。すいません。ごちそうさまでした」
5000円札×2枚渡し、受け取ったお釣をマイに返そうとしたら、
「いいから、いいから」
と拒まれました。

 

「ごめんね~ありがとう、また近々くるよ!」
と、マイとアキにハイタッチしてそそくさと退店したのでした。

 

このような店のシステムは今も昔も当たり前であり、特に法外な金額を請求されていた訳ではありません。

明確な料金システムの説明が無かったと言えばそれまでですが、私と入替えに入店していたサラリーマン達の「安い」と言う言葉は間違いではなかったと思います。

あえて言うなら、現在のカラオケは大抵歌い放題でしょう。

(つづく)

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